私はビンタされた。
「ねぇ、私なんて言ったっけ?」
「え……?」
「た・け・しに……近づかないでって言ったでしょ?」
落ち着いた口調だが、殺気が感じられる。
「ごめん……」
「はぁ? だから、武と話さないでよ、私の武だから!」
また胸ぐらをつかまれる。
「次やったら、コロス」
そして、中江マキたちは笑いながら出ていった。
さっきぶたれた頬に手を当てる。
ジンジンとする痛さが私の心に甚《いた》いものを染み込ませた。
私は帰りに野原に寄った。
この前みたいに大の字で寝転ぶ。
あのときはとなりに亮先輩がいたんだっけ……。
そして、キングたちが話しかけてきて……。
