そばにいるって、君が忘れないように

クラスに話す相手なんかいない私は自分の机で勉強していた。


ん~……。

ここ、分かんないや。

亮先輩に教えてもらおうかな。

なんて考えていると私の隣に誰かが立っているのが分かった。


「のどか」


私のことを呼ぶ声が聞こえて顔を上げると、そこには武が立っていた。


「あ……た、武」

「お願いがあるんだけどさ」
 

私は教室を見渡した。


「っ!」


ヤバい……中江マキがこっちを見てる。

 
焦っている私なんかお構い無しに武は話し続ける。


「今日、ちょっと一緒に帰れないかな? ちょっと相談があって」

「あ、いや……ごめん。今日は先に約束してたひとがいるんだよね」


もちろん、嘘だ。