そばにいるって、君が忘れないように




昼休みになった。
 
今日からお弁当か、とか思うと同時に、別に一緒に食べる人もいないしな、なんて思ったりもする。


さて、どこで一人寂しく食べようか。

できるだけこの教室で食べることは避けたかった。


「のどか」


隣の武が話しかけてきた。


「な、に」


私はすっかりカチカチのロボットか何かになってしまったのだろうか。

声が上手く喉から出てこなくてしゃべりずらい。
 

まさか──。


あの武が一緒に食べようなんて誘うわけ……いや、ないない。

武に限ってそんなこと言うはずがない。


あんな過去があるっていうのに、私はなにを期待しているのだろう。

もう武への期待はとっくにどこかへ置いてきたはずなのに。



「あ、まさか……俺がお前のこと誘うと思った? 残念でしたー」

「はあ……別にそんなこと思ってないし」


私は、お弁当箱を持って席を立った。


「お、おい、待てって」

「なに?」

「ちょっと、ノート貸してくんね? 国語の」