そばにいるって、君が忘れないように


私はキッチンへ行った。
 
そこには、壁に寄りかかりながら胸を摩っているおばあちゃんがいた。


「おばあちゃん? 大丈夫!?」

「ああ、お帰り。……う~ん、なんかこのごろネ、心臓の辺りがたまに痛くなるんだよォ」

「それ、病気じゃないよね?」

「大丈夫大丈夫、すぐ治るんだもん。……ほォら、治った」

「本当に大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫」
 

おばあちゃんは何事も無かったかのように、料理を始めた。


私は心配になり、スマホで調べてみた。
 
一番心配なのは〝心筋梗塞《しんきんこうそく》〟だって書いてあった。

その病気は、生死にかかわるらしい。
 
そのことを伝えに言ったら「大丈夫だから」と言って流されてしまった。
 
私はおばあちゃんに、病院の検査を薦めた。