そばにいるって、君が忘れないように

これは一体いつの記憶なのだろう。
 
視界はずいぶんとぼやけていて、はっきりと思い出すことができない。
 
男の人が私に手を伸ばしているようだ。
 
これは幼少期の頃の記憶……?
 
だとしたら長い間忘れていた記憶だと思う。 
 
でも──。

 


「ただいま!」
 

私はるんるんで家に帰った。


「ん?」

 
なにかが変だ。
 
なんか、こう……どこかがいつもと違う感じ。
 
あ。

そうだ。

いつもならおばあちゃんが料理を作っている音とか、歩く音とかがするはず。

それなのに……。


「おばあちゃん……おばあちゃん? いるよね?」