私は創先輩を睨んだ。
すると、今まで無表情だった彼の頬がふっと緩んだ。
「なんで笑うの」
「いや、別に」
もうなによ、と言いながら向こうの山々に視線を移動させ、必死に涙を拭っていると、私の頭にあたたかいもの──創先輩の手がのった。
「なんかあったらすぐに言えよ。オレはずっとのどかの味方だから」
その声やその言葉は、苦しいほどに私の胸をつまらせた。
「く、くるしい……」
「は?」
ヤバい。
このままだと、創先輩を好きになってしまいそうだ……!
ここに、キングは……いない!
ぎゅ、が……できない!
ああああああああ!
