ある日、私は女子トイレで中江マキに放課後屋上に来るように言われた。
言われた通り、私は放課後屋上に向かった。
逃げたかった。
従わないで逃げたかった。
でも出来なかった。
屋上の扉の前で一度立ち止まる。
以前、同じこの場所で、中江マキにいじめられていた子のことを思い出す。
私もその子のようになるのだろうか。
いや、なるに違いない。
私はいじめられる人生。
今まで辛いことは経験してきた。
蹴られもしてきたし、殴られもしてきた……。
だから蹴られることくらいへっちゃらでしょ……。
いや──。
へっちゃらなんかではない。
私はいつでもへっちゃらじゃない。
私は心の中で覚悟を決めようと思ったが、結局、覚悟なんて決まらなかった。
ただただ、手や体が震えているばかりだった。
