〇聖カメリア女学園高等部の寮・伊織の部屋(夜)
伊織、頭を抱える
伊織「そういえばそうだった……うーん、じゃあクラスメートと話すノリより、入学式の後の初対面のような感じ?」
伊織、スマホを手に取る
伊織「涼ちゃんか翔に訊いて……」
伊織、溜息をつく
伊織「いいや。涼ちゃんに訊いても……わっ」
スマホの画面が、電話の着信でピカピカと光る
伊織「玲司さんだ」
伊織、通話開始のアイコンを推す
伊織「もしもし」
玲司『ああ、伊織君。今、大丈夫か?』
伊織、口元が緩む
伊織「いつだって大丈夫だよ。あ、ねえ聞いてよ玲司さん!」
伊織、交流会の事を話す
伊織「――って事なの。女子校に進学したのに、まさか〝殿方と交流しなければ!〟ってイベントに巻き込まれるなんて」
玲司『大役を任されたな』
伊織「穴埋め要員だよ。もしくはお試し。生贄」
伊織(私達、生徒会役員がつつがなく交流会を終わらせる事ができれば、次は立候補する生徒が出てくるかもしれないしね)
玲司『だが、やり切るのだろう。君なら』
伊織「そりゃそうだよ。もう決まっちゃったし」
伊織、学習机の上に広げた書類の一文を指先でなぞる
伊織(明日の放課後、か。参加者は私達だけだから、生徒会の活動時間に、そのまま交流会が行われる)
壁時計を見る、午後十一時
伊織(もうこんな時間だ)
伊織「また、話、聞いてくれる?」
玲司『もちろん。お休み。良い夢を』
伊織「お休みなさい」
スマホをタッチして、電話を切る
伊織、大きく溜息をついて、玲司の言葉を思い出す
玲司『だが、やり切るのだろう。君なら』
〇(回想)伊織の部屋(伊織の高校受験時代)
伊織、自宅の学習机で勉強しながらも、泣いている
そばで立っている玲司が、伊織の頭を優しく撫でる
玲司「大丈夫だ。伊織君。君ならできる。絶対にだ」
(回想終了)
〇聖カメリア女学園高等部の寮・伊織の部屋(夜)
伊織、椅子の上で飛び上がる
伊織「あっ。男子と何を話せばいいのか、訊くの忘れちゃった。それに玲司さん、何か用だったかも」
待ってみるが、スマホにメッセージは来ない
伊織「大丈夫、かな。次に会った時に謝っとこ」
伊織、椅子から立ち上がる
伊織「それに、明日の交流会は初回だし。どうせ顔合わせの自己紹介くらいで終わるでしょ」
伊織、クローゼットを開ける
ハンガーにかけられた制服がある
伊織「学校主催の交流会だから制服。私服で悩まずに済む。何より」
伊織、姿見の前に立って、にっこりと微笑む
伊織「私立の、御嬢様校。それっぽくやればいい」
伊織、頭を抱える
伊織「そういえばそうだった……うーん、じゃあクラスメートと話すノリより、入学式の後の初対面のような感じ?」
伊織、スマホを手に取る
伊織「涼ちゃんか翔に訊いて……」
伊織、溜息をつく
伊織「いいや。涼ちゃんに訊いても……わっ」
スマホの画面が、電話の着信でピカピカと光る
伊織「玲司さんだ」
伊織、通話開始のアイコンを推す
伊織「もしもし」
玲司『ああ、伊織君。今、大丈夫か?』
伊織、口元が緩む
伊織「いつだって大丈夫だよ。あ、ねえ聞いてよ玲司さん!」
伊織、交流会の事を話す
伊織「――って事なの。女子校に進学したのに、まさか〝殿方と交流しなければ!〟ってイベントに巻き込まれるなんて」
玲司『大役を任されたな』
伊織「穴埋め要員だよ。もしくはお試し。生贄」
伊織(私達、生徒会役員がつつがなく交流会を終わらせる事ができれば、次は立候補する生徒が出てくるかもしれないしね)
玲司『だが、やり切るのだろう。君なら』
伊織「そりゃそうだよ。もう決まっちゃったし」
伊織、学習机の上に広げた書類の一文を指先でなぞる
伊織(明日の放課後、か。参加者は私達だけだから、生徒会の活動時間に、そのまま交流会が行われる)
壁時計を見る、午後十一時
伊織(もうこんな時間だ)
伊織「また、話、聞いてくれる?」
玲司『もちろん。お休み。良い夢を』
伊織「お休みなさい」
スマホをタッチして、電話を切る
伊織、大きく溜息をついて、玲司の言葉を思い出す
玲司『だが、やり切るのだろう。君なら』
〇(回想)伊織の部屋(伊織の高校受験時代)
伊織、自宅の学習机で勉強しながらも、泣いている
そばで立っている玲司が、伊織の頭を優しく撫でる
玲司「大丈夫だ。伊織君。君ならできる。絶対にだ」
(回想終了)
〇聖カメリア女学園高等部の寮・伊織の部屋(夜)
伊織、椅子の上で飛び上がる
伊織「あっ。男子と何を話せばいいのか、訊くの忘れちゃった。それに玲司さん、何か用だったかも」
待ってみるが、スマホにメッセージは来ない
伊織「大丈夫、かな。次に会った時に謝っとこ」
伊織、椅子から立ち上がる
伊織「それに、明日の交流会は初回だし。どうせ顔合わせの自己紹介くらいで終わるでしょ」
伊織、クローゼットを開ける
ハンガーにかけられた制服がある
伊織「学校主催の交流会だから制服。私服で悩まずに済む。何より」
伊織、姿見の前に立って、にっこりと微笑む
伊織「私立の、御嬢様校。それっぽくやればいい」
