幼馴染み、四重奏。

〇聖カメリア女学園高等部の寮・伊織の部屋(夕方)
伊織「別に遠巻きにされたいわけじゃないけど、女同士の距離の詰め方ってえぐいなぁ」
 伊織、スマホの写真アプリで、中学時代の写真を見る
 文化祭、体育祭、修学旅行、家庭科の調理実習など
伊織「共学の方が、もうちょっと気楽だったかも」
 伊織、一番古い写真を見る
 幼馴染み四人と一緒に写った写真だ

〇(回想)放課後児童クラブの教室(伊織と幼馴染み四人の小学校低学年時代)
伊織「ねえちょっと静かにしてよ、玲司さんが本を読んでるのに!」
玲司「い、伊織君、構わないから」
涼「お前が一番うるさい」
翔「涼、あっちに行こう」
昴「お腹空いた。おやつ食べたい」
伊織「もう、あんた達は~!」
(回想終了)

〇聖カメリア女学園高等部の寮・伊織の部屋(夕方)
伊織「まあでも、寮に入って、一年経って、何とか慣れてきたかな。お」
 壁時計が、午後六時を指している
伊織「そろそろ食堂に行こ。今日は何だろうな~」
 伊織、廊下に出て、背筋を伸ばす
 向こう側からやってきた寮生、声をかけてくる
寮生「まあ伊織さん。ごきげんよう」
伊織「ごきげんよう。本日はどのようなディナーでしょう」
 伊織、にこやかに話し始める
寮生「確か、パスタですわ。カルボナーラと、ボロネーゼと、和風だったかと」
伊織「まあ。どれか一つなんて選べませんわ」
寮生「わたくしもですわ……」

〇聖カメリア女学園高等部の寮・伊織の部屋(夜)
 伊織、制服からラフな私服に着替えて、どっかりと椅子に腰掛ける
 夕食も入浴も終え、髪も乾かして、あとは寝るだけの状態
伊織「――って、御飯の時は御飯の事、お風呂の時はお風呂の事を喋ればいいけど。
   交流会かぁ。何を話せばいいんだろ。ゲーム? 勉強? 一応こっち進学校だけど。でも、向こうはどういう学校なんだろ」
 伊織、学習机の上に広げた書類を手に取る
 交流会の参加メンバーの書類
 伊織、晴美、絵里の名前はあるが、肝心の男子生徒側の名前は載っていない

〇(回想)聖カメリア女学園高等部の校舎・生徒会室(夕方)
校長「この交流会の目的は、初対面の殿方とも、ある程度のスムーズなコミュニケーションは取れるようになる事です。
   最初から全ての情報が提示された状態での交流会では、お見合いになってしまいます」
顧問「頑張ってね、みんな!」
(回想終了)