幼馴染み、四重奏。

〇私立黒岡学園高校の校舎・二年一組の教室(放課後)
 涼と伊織、戻ってくる
玲司「そろそろ帰ろうか」
涼「台本を回収するよ。一応、備品だからね。昴君?」
昴「笑ってやろうと思ったのに」
涼「よーし次は発表会に招待してあげるよ。絶対に来てね」
玲司「伊織君?」
 伊織、ハッとする
玲司「疲れたのかい?」
伊織「ううん。大丈夫。帰りましょ」

〇私立黒岡学園高校の校門前(放課後)
 四人で校門を出たところで、涼が立ち止まる
涼「御免。僕、片付けを手伝いたいから」
玲司「今日は有り難う。いろいろと勉強になった」
涼「玲司兄さんは、相変わらずだね」
昴「伊織さんは俺達が送る」
伊織「またね」
涼「うん。また来週」
 柔らかい笑顔で別れる

〇聖カメリア女学園高等部の校舎・生徒会室(放課後)
 新聞部の部員、伊織の表情を見て勘付く
新聞部の部員「何かありましたね?」
伊織「別に何もありませんよ!?」
 伊織の身体がびょんと跳ねる
 新聞部の部員、取り敢えずその裾を受け入れる
新聞部の部員「――そうですか。では、交流会の一環として、先週は私立黒岡学園高校に赴かれたそうですが――」

〇(回想)私立黒岡学園高校の校舎・二年五組の教室(放課後)
伊織「それに、涼ちゃんに御姫様って言われるの、最初はドン引きしちゃったけど……今は……悪くない、かも」
(回想終了)

〇聖カメリア女学園高等部の校舎・生徒会室(放課後)
晴美「あら、どうしたの。前より艶めいた表情になったわ」
絵里「なっていますわ。どなたか御一方と、何かありましたか?」
伊織「な……いですよ、特に、何も」

〇カフェ・フルクトゥスの個室(放課後)
 伊織が一人でいる所に、涼が来る
涼「やあ。僕の御姫様」
伊織「……それ、やめて」
 伊織、席に座っている伊織の顔を覗き込む
 伊織、顔が赤くなっている
涼「やだ。だって君は僕の御姫様だから。このために演劇部に入ったんだし」
伊織「そこまで!?」
 伊織の素っ頓狂な声に、涼は笑う

〇(回想)涼と伊織の幼稚園時代
 涼、泣いている伊織を必死に慰めている
涼「だいじょうぶだよ。やくそく。ほら」
伊織「う、うん」
 伊織、泣きじゃくりながら、左手の小指を差し出す
 涼の小指と絡まり、指切りをする
涼「ゆびきり、げんまん」
涼「伊織ちゃんは、僕のおひめさまだから。とおくに行っても、あいにいくよ。ぜったいに」
(回想終了)

〇カフェ・フルクトゥスの個室(放課後)
伊織(結局、小さい頃の私の引っ越しは無くなったし、高校は違ったけど、こうして会うようになった……)
 涼と目が合う
 伊織、咄嗟に目を逸らす
伊織(それだけ付き合いは長いのに、何でこんなに気恥ずかしいんだろ)