〇歩道(放課後)
伊織「そういえば昴君、学校はどう?」
昴「問題ない。周りみんな勉強ばっかだし。中学より気楽だよ」
伊織「東高の勉強にもついていけてるんだね。流石は昴君」
昴「それは……伊織さんもだろ」
 昴、伊織の立ち居振る舞いを思い出す
 私服はずっとズボンだったが、伊織はお出かけの際は毎回スカートを履いている
 以前は髪をぐしゃぐしゃと撫で回される事があったが、今はしてこない

〇公園のベンチ(放課後)
伊織「昴君。幻滅した?」
昴「え?」
伊織「前の私と違ってて」
昴「いや……そんな事は」
伊織「無理しないで。私自身が一番びっくりしているから。昔は――」
 目の前に、ボールが転がってくる
 伊織、昴より先に立ち上がり、ボールを手に取る
子供「すみませーん」
伊織「行くよー」
 伊織、ブーツの爪先でボールを蹴る
 スカートの裾が広がる
昴「ちょっ、今ズボンじゃないだろ!」
伊織「あ。そうだった」
 伊織、照れくさそうに笑う
伊織「でもまぁいいじゃん」
昴「良くな――」
 ×××
中学時代の伊織「あ、服に泥が付いちった。まあいいや」
 ×××
伊織「あ! あそこアイスの自販機だ。行こ」
 伊織、アイスの自動販売機に行ってしまう
 昴、立ち上がり、その後をついていく
昴「自由奔放なのは変わらないな……」