〇聖カメリア女学園高等部の校舎・生徒会室(放課後)
 伊織、新聞部からインタビューを受けている
新聞部の部長「――今回の交流会では、偶然にも顔馴染みの殿方との再会になったとか」
伊織「ええ。私も驚きました。小さい頃からよく知っているはずの方々なのに、いつもと違う場所で会っただけで、何故か別の人のように見えましたから」
新聞部の部員「交流会では、主にどのような事を話されているのですか?」
伊織「つい昔話で盛り上がってしまいます。あとは授業や、勉強の話を。同じ高校でも、やはり授業の進み方や校風は異なるので、聞き入ってしまいます」
新聞部の部員「その昔話が気になります。差し支えない範囲で、教えて頂けると。あ、できれば幼馴染みの殿方三人も一緒で」
伊織「そう、ですね……こんな事がありました」

〇(回想)幼馴染み四人の小学校低学年時代
涼「ねえねえ、これなーに?」
 涼、伊織の持っている紙を見て、目をキラキラさせる
伊織「ふっふーん、私と玲司お兄で作った暗号!」
昴「きのうのごはん、にくじゃがだった」
 昴、紙を裏から見て、すらすらと喋る
伊織「もう解読されたぁ! うえーん、玲司お兄~!」
 伊織、ちょうどやってきた玲司に泣き付く
(回想終了)

〇聖カメリア女学園高等部の校舎・生徒会室(放課後)
 伊織、交流会について、新聞部からの取材を受けている
新聞部の部員「まあ。その殿方との、二人の思い出なのですね」
伊織「そうですね。同い年には〝仲間外れにされた〟って泣かれるし、年下にはあっさりと解読されるし」
新聞部の部員「ちなみに参考にされた文献はありますか? やはりミステリー小説を参考に? もしかしておど」
新聞部の部長「はい終了~」
 新聞部の部員(隠れミステリーファン)、新聞部の部長に引き摺られて退場する
新聞部の部長「御協力、有り難う。記事ができたらお見せします。それでは」
伊織「ええ」
 伊織、にっこりと微笑む