〇都内・高層ビル(以下「アウラビルディング」と表記)の八階にあるカフェ(以下「フルクトゥス」と表記)の個室(夕方)
四人、前回と同じ席で、お茶会を始める
勉強の話で盛り上がる
しばらくした後、勉強道具を片付け、店員が運んできたケーキスタンドに舌鼓を打つ
伊織「……みんな、周りから何か言われてない?」
玲司、ティーカップをソーサーに戻す
涼、昴の口元に押し付けていたフォークを戻す
昴、伊織の顔を覗き込む
昴「カメリアで何か言われたのか? 男とお茶会なんて破廉恥とか」
涼「お茶会は破廉恥ではないだろう……?」
昴「あそこは別世界なんだ。常識がまた違う」
伊織「私じゃなくて……あ、みんなの事は悪く言われてはいないよ、大丈夫。そうじゃなくて。ほら、私、去年まで、ああだったじゃん」
玲司、首を捻る
玲司「ああだった、というのは……?」
伊織「ガサツで、女っぽくなくて、色気もゼロ。そんな奴と、こんなかしこまった場で改まってお茶会なんて、こう、むず痒いじゃない。違和感があるっていうか。去年までの私を知っている人に、いろいろと言われていると思って」
三人それぞれ、学校での事を思い出す
玲司「特には……」
昴「別に」
涼、一人だけ呟いていた事を思い出すが、パッと笑う
涼「僕も全然。元中の奴とはクラスも違うし」
伊織「そっか。でも、何か言われたら教えてね」
涼「教えてねって……知ってどうするんだい?」
伊織「え、と」
涼「元中の奴に何をどう言われようと、君は聖カメリアから転校するわけではないし、入学した事を後悔はしないんだろう。試験に挑んだ事もだ。なら、知る必要も無いだろう。本当に君は昔からそういう……」
玲司、涼の脇腹を小突く
涼、ハッと口を噤む
伊織、明るく笑う
伊織「本当だね。涼ちゃんの言う通りだ」
昴、小声で呟く
昴「でも伊織さんの事を悪く言う奴は教えろ」
涼「どうするつもりなんだい?」
涼、苦笑いする
〇アウラビルディングの出入り口前(夕方)
伊織「何だかんだで慣れてきちゃったね、お茶会も」
昴「本当にこのままじゃ、ただ飲み食いするだけの駄弁りになるぞ」
玲司「お茶会ではあるんだ、問題は無いさ」
涼「ここのケーキおいしいしね~」
伊織、腕時計を見る
伊織「あ、やば。御免、先に行くね」
玲司「門限か。大丈夫か? 私から連絡しようか」
伊織「大丈夫だって!」
伊織、優雅にスカートの裾をつまんで一礼する
伊織「皆様、ごきげんよう。また来週に」
伊織、スカートの裾が翻らないよう気を付けながらも、軽快な足取りで去っていく
残された三人、その様を見送り、
昴「おい。誰か一人は駅まで送るべきだろ!」
昴の一言で、ハッと我に返った
四人、前回と同じ席で、お茶会を始める
勉強の話で盛り上がる
しばらくした後、勉強道具を片付け、店員が運んできたケーキスタンドに舌鼓を打つ
伊織「……みんな、周りから何か言われてない?」
玲司、ティーカップをソーサーに戻す
涼、昴の口元に押し付けていたフォークを戻す
昴、伊織の顔を覗き込む
昴「カメリアで何か言われたのか? 男とお茶会なんて破廉恥とか」
涼「お茶会は破廉恥ではないだろう……?」
昴「あそこは別世界なんだ。常識がまた違う」
伊織「私じゃなくて……あ、みんなの事は悪く言われてはいないよ、大丈夫。そうじゃなくて。ほら、私、去年まで、ああだったじゃん」
玲司、首を捻る
玲司「ああだった、というのは……?」
伊織「ガサツで、女っぽくなくて、色気もゼロ。そんな奴と、こんなかしこまった場で改まってお茶会なんて、こう、むず痒いじゃない。違和感があるっていうか。去年までの私を知っている人に、いろいろと言われていると思って」
三人それぞれ、学校での事を思い出す
玲司「特には……」
昴「別に」
涼、一人だけ呟いていた事を思い出すが、パッと笑う
涼「僕も全然。元中の奴とはクラスも違うし」
伊織「そっか。でも、何か言われたら教えてね」
涼「教えてねって……知ってどうするんだい?」
伊織「え、と」
涼「元中の奴に何をどう言われようと、君は聖カメリアから転校するわけではないし、入学した事を後悔はしないんだろう。試験に挑んだ事もだ。なら、知る必要も無いだろう。本当に君は昔からそういう……」
玲司、涼の脇腹を小突く
涼、ハッと口を噤む
伊織、明るく笑う
伊織「本当だね。涼ちゃんの言う通りだ」
昴、小声で呟く
昴「でも伊織さんの事を悪く言う奴は教えろ」
涼「どうするつもりなんだい?」
涼、苦笑いする
〇アウラビルディングの出入り口前(夕方)
伊織「何だかんだで慣れてきちゃったね、お茶会も」
昴「本当にこのままじゃ、ただ飲み食いするだけの駄弁りになるぞ」
玲司「お茶会ではあるんだ、問題は無いさ」
涼「ここのケーキおいしいしね~」
伊織、腕時計を見る
伊織「あ、やば。御免、先に行くね」
玲司「門限か。大丈夫か? 私から連絡しようか」
伊織「大丈夫だって!」
伊織、優雅にスカートの裾をつまんで一礼する
伊織「皆様、ごきげんよう。また来週に」
伊織、スカートの裾が翻らないよう気を付けながらも、軽快な足取りで去っていく
残された三人、その様を見送り、
昴「おい。誰か一人は駅まで送るべきだろ!」
昴の一言で、ハッと我に返った
