初恋は実らない?

中学校の入学式。
みんな持ち上がりで知った顔ばかり。
外部受験の人は一桁しかいない。
この学校、そこそこの子息だけでなく、そこそこの学力が無ければ入学出来ないし、落とされる。
クラス分けも中学校からは学力順になっている。
航輔は学年トップで当たり前のようにA組。
私は頑張ってA組。いつB組になるか判らない。

航輔はもてる。
勉強だけでなく、スポーツも出来て、幼さが無くなりますますカッコイイ。
高学年の頃らか一緒に帰ることは無くなった。

理由はいつものようにみんなの中心にいる航輔に男子が揶揄って『おまえら付き合ってるだろ』、なんて言ってから。
「別に付き合ってなんかないし…、」
ぼそっと応えていたけど、恥ずかしがり屋の航輔は少しずつ離れていった。

離れたことによって、航輔の廻りに女子が増え始めた。
今日も教室で、
「佐伯君って、どんな子がタイプ?」
女子に問い詰められた。
近くにいた男子が、「こいつはずっと『鮎川華』」
そしてその時に聞いたんだ。
『どんくさい華はタイプじゃねーし』
初恋は実らない。
それは本当だったんだ。

中学生になって素敵な恋人を作るんだ。
そんな気持ちで迎えた入学式。
彼が現れた。