【レッスン室A】
「真瑠璃さん、今日もとても良く弾けておりましたわよ。その調子でね、その調子で。大変よろしゅうございました。また来週も頑張りましょう。」
「ありがとうございました‼︎」
「そうそう、真瑠璃さんのお父様の雑誌、素敵な記事だったわよね。軽井沢のお店。雑誌、購入させていただきましたわよ。」
そう言って、楽譜の上に乗った雑誌を嬉しそうにみせてくれた本宮先生。私は嬉しく嬉しくて、思わず笑顔が溢れる。
「ありがとうございます!」
「お写真に写っていたのは、もしかして真瑠璃さんじゃなかった?」
「先生なんでわかったんですか⁉︎凄い!」
「手元しか写っていなかったけれど、真瑠璃さんだってすぐにわかりましたよ。真瑠璃さんの手元は、私、毎週みていますからね。週末軽井沢へ行くから、早速、予約したのよ。うふふふ。」
やっぱり本宮先生は素敵だ。
先生と話しているだけで、心がぽかぽかとあたたまる。
前向きな気持ちになる。
先生は誰と一緒に行くんだろう。ちょっと気になっちゃったけれど、先生の幸せそうな笑顔に見惚れて、聞くタイミングを失ってしまった。
【真瑠璃のダイエット日記】
一つ・レッスン日は、バスに乗らずに歩いて帰ろう。
普段は夕方まで授業があるから難しいけれど、レッスン日は遅くても十四時には下校できるんだ。そんな日は、家まで歩いてみよう!
私の家から高校までは、距離にして三キロ弱。早歩きで歩けば、三十分くらいだから、おやつまでには余裕で家に着くね!おやつは、絶対に抜かない。そんな事をしたら、本業のピアノをする気力がなくなっちゃうもんね。
バスに乗らずに歩いて帰るのって初めてだな。
こんなところに、小さな雑貨屋さんがあったのね。路地はきれいに整備されて、色とりどりのお花が気持ちよさそうに咲いている。
普段何気なく通り過ぎちゃう道も、歩いてみると新たな発見があるものね。
あれ?こんな裏路地があったんだ。ちょっと甘い香りがする…気がする。
美味しいにおいに誘われて、私は細い一本道を進んでみる。
裏路地の行き止まりに、ぽつんと昔ながらの和菓子屋さんがあった。ショーケースには、美味しそうな和菓子がズラリと並んでいる。
【清好堂】の看板から、歴史を感じる。
もうあまりお菓子が残っていない、きっと人気のお店なのね。
味噌饅頭、田舎饅頭、黄身時雨、桜餅、みたらし団子もある!
「いらっしゃいませ」
お店の奥から、可愛いおばあちゃんが出てきてくれた。
「こんにちは!」
「あら、珍しいわね。小百合ヶ丘学園の生徒さんかしら?懐かしいわねえ。うちの娘も、通っていたのよ。」
とても優しい眼差しのおばあちゃん。
なんだろう。どこかで感じたことがあるこの感覚。
甘い香りとおばあちゃんの優しい笑顔に、私の心は幸せ満タン。
「おすすめはありますか?」
「予約でほとんどでちゃうのよ。あまり残っていなくて、ごめんなさいね。味噌饅頭とみたらし団子が、一年中人気があるのよ。」
「じゃあ!味噌饅頭とみたらし団子お願いします!」
白い割烹着が似合う、とても上品なおばあちゃん。美味しそうな和菓子は、誰が作っているんだろう。
素敵なお店を見つけちゃった。
こんな素敵な発見があるんだもん、歩いて帰るのも良いものね。
私は、味噌饅頭とみたらし団子を大切に大切に抱えて、家路を急いだ。
「真瑠璃さん、今日もとても良く弾けておりましたわよ。その調子でね、その調子で。大変よろしゅうございました。また来週も頑張りましょう。」
「ありがとうございました‼︎」
「そうそう、真瑠璃さんのお父様の雑誌、素敵な記事だったわよね。軽井沢のお店。雑誌、購入させていただきましたわよ。」
そう言って、楽譜の上に乗った雑誌を嬉しそうにみせてくれた本宮先生。私は嬉しく嬉しくて、思わず笑顔が溢れる。
「ありがとうございます!」
「お写真に写っていたのは、もしかして真瑠璃さんじゃなかった?」
「先生なんでわかったんですか⁉︎凄い!」
「手元しか写っていなかったけれど、真瑠璃さんだってすぐにわかりましたよ。真瑠璃さんの手元は、私、毎週みていますからね。週末軽井沢へ行くから、早速、予約したのよ。うふふふ。」
やっぱり本宮先生は素敵だ。
先生と話しているだけで、心がぽかぽかとあたたまる。
前向きな気持ちになる。
先生は誰と一緒に行くんだろう。ちょっと気になっちゃったけれど、先生の幸せそうな笑顔に見惚れて、聞くタイミングを失ってしまった。
【真瑠璃のダイエット日記】
一つ・レッスン日は、バスに乗らずに歩いて帰ろう。
普段は夕方まで授業があるから難しいけれど、レッスン日は遅くても十四時には下校できるんだ。そんな日は、家まで歩いてみよう!
私の家から高校までは、距離にして三キロ弱。早歩きで歩けば、三十分くらいだから、おやつまでには余裕で家に着くね!おやつは、絶対に抜かない。そんな事をしたら、本業のピアノをする気力がなくなっちゃうもんね。
バスに乗らずに歩いて帰るのって初めてだな。
こんなところに、小さな雑貨屋さんがあったのね。路地はきれいに整備されて、色とりどりのお花が気持ちよさそうに咲いている。
普段何気なく通り過ぎちゃう道も、歩いてみると新たな発見があるものね。
あれ?こんな裏路地があったんだ。ちょっと甘い香りがする…気がする。
美味しいにおいに誘われて、私は細い一本道を進んでみる。
裏路地の行き止まりに、ぽつんと昔ながらの和菓子屋さんがあった。ショーケースには、美味しそうな和菓子がズラリと並んでいる。
【清好堂】の看板から、歴史を感じる。
もうあまりお菓子が残っていない、きっと人気のお店なのね。
味噌饅頭、田舎饅頭、黄身時雨、桜餅、みたらし団子もある!
「いらっしゃいませ」
お店の奥から、可愛いおばあちゃんが出てきてくれた。
「こんにちは!」
「あら、珍しいわね。小百合ヶ丘学園の生徒さんかしら?懐かしいわねえ。うちの娘も、通っていたのよ。」
とても優しい眼差しのおばあちゃん。
なんだろう。どこかで感じたことがあるこの感覚。
甘い香りとおばあちゃんの優しい笑顔に、私の心は幸せ満タン。
「おすすめはありますか?」
「予約でほとんどでちゃうのよ。あまり残っていなくて、ごめんなさいね。味噌饅頭とみたらし団子が、一年中人気があるのよ。」
「じゃあ!味噌饅頭とみたらし団子お願いします!」
白い割烹着が似合う、とても上品なおばあちゃん。美味しそうな和菓子は、誰が作っているんだろう。
素敵なお店を見つけちゃった。
こんな素敵な発見があるんだもん、歩いて帰るのも良いものね。
私は、味噌饅頭とみたらし団子を大切に大切に抱えて、家路を急いだ。


