キーンコーンカーンコーン。
今日は一時間目の英語で授業は終わり。その後はそれぞれが個人レッスンをする日だ。
私の最後のピアノレッスンは十四時に終わる。
急げば、大好きなシュークリームに間に合うかもしれない。
【レッスン室A】
「真瑠璃さん、今日もよく弾けていましたわ。この調子でね」
「ありがとうございました!」
上品で清楚な本宮梓先生。憧れの先生に褒められると、心までぽかぽかする。
教室の時計は十四時ちょうど。
よし、まだ間に合う!
【ミニヨン】
カラン〜カラン〜。
お店の中はシュークリームの甘い香りでいっぱい。
スワンの形をした可憐なシュークリーム。四羽だけ残っている!
「スワンシュークリーム、四羽ください!」
やった、間に合った。
――ちゃんと『真瑠璃のグルメ日記』に記録しなくちゃ。
そして……隆也に見てもらわないと!
【軽井沢・ル・アモール・ドゥ・ラ・レーヌ】
「素敵なお店!」
パパが案内してくれたお店は、おとぎの国から飛び出してきたみたいな外観。
薔薇でできたアーチをくぐると、素敵なお庭と洋館が目の前に現れた。
こっこれは、日本ではない。まるで、マリーアントワネットが愛したプチ・トリアノン。イギリスの田舎を思わせる建物もお庭に点在している。
扉を開けると、辺り一面ふんわり甘い香りで包まれた。なんて幸せなの。
お店のショーケースには、宝石のようなケーキたちがずらりと並んでいる。
「Maison de BonBon《メゾンドボンボン》 編集長・華待哲太《はなまちてった》と申します。本日は、早くにありがとうございます。」
パパがいつも以上にカッコよく見える。
さすが、私の自慢のパパ!
「いらっしゃいませ。ル・アモール・ドゥ・ラ・レーヌの志門大輝《しもんだいき》と申します。」
お店の厨房から、スラリと背の高い男性が現れた。腰に巻いた黒のエプロンがとても似合う。。イケメンパティシエとは、まさに志門さんのこと。
お店の大きなガラスのショーケースには、ところ狭しケーキがならんでいる!
宝石のようなケーキ。
どれも丁寧に愛情たっぷり作られたのが伝わっててくる。
今日の目的は、今話題のアフタヌーンティーを取材すること。
私は『真瑠璃のグルメ日記』を片手に、アフタヌーンティーにつて復習する。
「アフタヌーンティーの始まりはね、イギリスのアンナ・マリア夫人が“お腹が空いて気が滅入りそう”って、紅茶とおやつをこっそり食べたことなんだって!」
……なんて可愛い理由!
しかもそのおやつは、クランペットっていうイギリスのパンケーキの一種。外はカリッ、中はふんわり。マフィンでもなく、ホットケーキでもなく……想像しただけでお腹が空いちゃう。
その後、アンナ・マリア夫人は女友達を呼んで、アフタヌーンティーがどんどん広まったらしい。
お腹がすいたおかげで、こんな素敵な文化が生まれるなんて!
アンナ・マリア夫人、ありがとうございます!
アフタヌーンティーの歴史を頭で整理して、二階のサロンへ向かう。
サロンへと続く階段も、とても素敵。この空間に居られるだけで幸せ!
「パパ!素敵なお店に連れてきてくれてありがとう!」
帰りの車に揺られながら、私は幸せがとまらない。
「真瑠にそう言ってもらえると、パパも嬉しいよ!」
ハンドルを握る、パパの嬉しそうな横顔。ママも真子もとても幸せそう。
こうして、パパプレゼンツの軽井沢グルメツアーは大満足で幕を閉じた。
ふわりと甘い香りと、胸のときめき。
この幸せを――ぜんぶ、日記に書きとめておきたい。
今日は一時間目の英語で授業は終わり。その後はそれぞれが個人レッスンをする日だ。
私の最後のピアノレッスンは十四時に終わる。
急げば、大好きなシュークリームに間に合うかもしれない。
【レッスン室A】
「真瑠璃さん、今日もよく弾けていましたわ。この調子でね」
「ありがとうございました!」
上品で清楚な本宮梓先生。憧れの先生に褒められると、心までぽかぽかする。
教室の時計は十四時ちょうど。
よし、まだ間に合う!
【ミニヨン】
カラン〜カラン〜。
お店の中はシュークリームの甘い香りでいっぱい。
スワンの形をした可憐なシュークリーム。四羽だけ残っている!
「スワンシュークリーム、四羽ください!」
やった、間に合った。
――ちゃんと『真瑠璃のグルメ日記』に記録しなくちゃ。
そして……隆也に見てもらわないと!
【軽井沢・ル・アモール・ドゥ・ラ・レーヌ】
「素敵なお店!」
パパが案内してくれたお店は、おとぎの国から飛び出してきたみたいな外観。
薔薇でできたアーチをくぐると、素敵なお庭と洋館が目の前に現れた。
こっこれは、日本ではない。まるで、マリーアントワネットが愛したプチ・トリアノン。イギリスの田舎を思わせる建物もお庭に点在している。
扉を開けると、辺り一面ふんわり甘い香りで包まれた。なんて幸せなの。
お店のショーケースには、宝石のようなケーキたちがずらりと並んでいる。
「Maison de BonBon《メゾンドボンボン》 編集長・華待哲太《はなまちてった》と申します。本日は、早くにありがとうございます。」
パパがいつも以上にカッコよく見える。
さすが、私の自慢のパパ!
「いらっしゃいませ。ル・アモール・ドゥ・ラ・レーヌの志門大輝《しもんだいき》と申します。」
お店の厨房から、スラリと背の高い男性が現れた。腰に巻いた黒のエプロンがとても似合う。。イケメンパティシエとは、まさに志門さんのこと。
お店の大きなガラスのショーケースには、ところ狭しケーキがならんでいる!
宝石のようなケーキ。
どれも丁寧に愛情たっぷり作られたのが伝わっててくる。
今日の目的は、今話題のアフタヌーンティーを取材すること。
私は『真瑠璃のグルメ日記』を片手に、アフタヌーンティーにつて復習する。
「アフタヌーンティーの始まりはね、イギリスのアンナ・マリア夫人が“お腹が空いて気が滅入りそう”って、紅茶とおやつをこっそり食べたことなんだって!」
……なんて可愛い理由!
しかもそのおやつは、クランペットっていうイギリスのパンケーキの一種。外はカリッ、中はふんわり。マフィンでもなく、ホットケーキでもなく……想像しただけでお腹が空いちゃう。
その後、アンナ・マリア夫人は女友達を呼んで、アフタヌーンティーがどんどん広まったらしい。
お腹がすいたおかげで、こんな素敵な文化が生まれるなんて!
アンナ・マリア夫人、ありがとうございます!
アフタヌーンティーの歴史を頭で整理して、二階のサロンへ向かう。
サロンへと続く階段も、とても素敵。この空間に居られるだけで幸せ!
「パパ!素敵なお店に連れてきてくれてありがとう!」
帰りの車に揺られながら、私は幸せがとまらない。
「真瑠にそう言ってもらえると、パパも嬉しいよ!」
ハンドルを握る、パパの嬉しそうな横顔。ママも真子もとても幸せそう。
こうして、パパプレゼンツの軽井沢グルメツアーは大満足で幕を閉じた。
ふわりと甘い香りと、胸のときめき。
この幸せを――ぜんぶ、日記に書きとめておきたい。


