【東京芸術大学 レッスン室】
「ねえ、ぶー!もうピアノ弾きたくない!疲れたよ。」
ピアノに寄りかかりながらため息をつく瑛里。どうしていつもこうなっちゃうのか。
「明日から三日間乗り切れる?」
「無理。」
「またそんな事言って。本宮門下生として恥ずかしくないように、しっかりやろうよ!ね?周ちゃん!」
「そうだよ、せっかく有名な先生に見てもらえることになったんだよ。これも、本宮門下生だからだよ!先生の顔に泥を塗るようなことは出来ないよね!」
周ちゃんが真剣な眼差しで瑛里をみる。
「周ちゃんの言う通り!瑛里、出来そう?」
「うーん…」
ぷるる ぷるる
「あれ?瑛里の携帯じゃない?鳴ってるよ。」
「…出ない。」
瑛里の携帯画面に【篤人くん】と書いてあったけど。出なくて良いの⁉︎
何かあったのかな。
「そうだ!じゃあ、瑛里ちゃんのやる気が出るように!今日は、みんなでマック食べてからホテルに帰ろうよ!」
「さすが周ちゃん!賛成!ホテルの側にあったもんね!」
「でも……ぶーダイエットしているんじゃないの?夜にマックなんて、更にぶーになっちゃうじゃん。」
「瑛里ちゃん、何でそう言う言い方するの?そんな言い方、真瑠璃ちゃんに謝ってよ。」
周ちゃんが、鋭い目で瑛里を睨みつける。
「ふん。やだよ。」
「ありがとう、周ちゃん。大丈夫!大賛成だよ!瑛里は?」
「……行く。」
「やっぴー!そうこなくっちゃ!瑛里ちゃん、ファイト‼︎」
こうして私たちは、三人で励まし合いながらなんとか、三泊四日の夏期講習を乗り切った。
そうそう!三人で約束していたプリクラなんだけれど、東京のゲームセンターは驚くほど混んでいて、帰りの新幹線に間に合いそうもなくキャンセルになった。瑛里はぷりぷり怒っていたけれど、こればかりは仕方ないよね。
私は、上野にある超有名なあんみつ屋さんでしっかりお土産を買って、新幹線に乗り込んだ。疲れたけれど、すごく勉強になった三日間だったよ!