【小百合ヶ丘学園前 バス停】 
「真瑠璃!久しぶりじゃん!」
声がする方を振り返ると、爽やかな空気に包まれた隆也が手を振っている。
「隆也!」
「真瑠璃?ちょっと痩せた?」
「えー⁉︎本当?分かる?うれぴー!」
「どうしたの?」
「聞いてくれる?私ね、ダイエットしてるの‼︎」
「まさか、甘いもの我慢してるの?」
「ううん。違うの。甘いものを我慢なんて、もう人生の楽しみを失ったようなもの。だからね、色々と生活に決まりを作って頑張っているんだ!」
「真瑠璃は、昔から決めた目標に向かって一生懸命頑張るよね。尊敬するよ。」
 隆也はいつだって私のことを肯定してくれる。背中を優しくもしっかりと押してくれる。幼馴染ってだけで心が通じ合うなんてありえないって思っていたけれど、隆也とは通じ合える。でも、これって幼馴染とか関係あるのかな。
「そうだ!隆也、ちょっと時間ある?紹介したいお店があるんだよね!」
私は、久しぶりに隆也に会えた喜びと、おばあちゃんに会えるワクワクで心がふわふわとしていた。
 
【バス車内】
「なあなあ、あれ、お前の学校のデブとイケメン彼氏じゃね?」
「え⁉︎瑠璃ちゃんと隆也……。二人で楽しそうに歩いてる。どこへ行くんだろう。」
「本当凄いよな!あんなブタ連れてて、恥ずかしくねえのかな?俺無理〜。」
「……」
「彼氏、イケメンなのにな。な⁉︎瑛里!」
「……」
「あのブタの、どんなところが良いんだろうな?」
「……」
「あれか⁉︎人って自分にないものを他人に求めるから。イケメンが求めるのはブタか?あはははは〜。」
「……やめて」
「ん?」
「そんな言い方、やめて‼︎」