最愛から2番目の恋

 今では彼等は臣下であって、親しく付き合いがあるのは、最愛のマリツァのみ。
 クラシオンは悔しげに下唇を噛んでいる。 
 卒業してしまえば、決して平等ではない貴族令息達との、今でも続く友情を肯定する言葉が見つからないのだろう。



「……と言う事ですので、これからは兄弟子のパーカーの事で、わたくしに当て擦りを仰せになるのは、お止めくださいませ。
 わたくしには今まで、最愛はおりませんでしたし。
 多分、これからも現れませんから」

 ガートルードは何も言わなくなったクラシオンを、この話でこれ以上突っ込む事はやめた。


 それに、ブレイク・パーカーには好きな女性が居て、それはわたしの姉です、という話までする気は無い。
 だから、子爵家の後継者の彼が、この先もきっと独身のままで。
 第1王女の姉が、どれ程の良縁であろうとも決して受けないと決めている事も教える気は無い。


 ガートルードとクラシオンの間には沈黙が続いていたが。
 まだ彼が部屋へ戻ろうとしないので、負けず嫌いの彼女もそのまま隣で月を眺めた。


 春の優しい夜風に、吹かれながら。

 このアストリッツァに来てから初めて。

 ガートルードは夫が隣に居ても、寛げている事に気付いた。