最愛から2番目の恋

「……じゃあ、決まりで。
 これからどう動くのか、悪巧みが得意な殿下にお任せしますけど、正攻法では時間がかかり過ぎる。
 アストリッツァの王太子は番が居るような男です。
 荒事が苦手な貴方が悪党らしく裏から手を回して略奪したって、金さえ積めばサンペルグの神は許してくれる。
 囚われの姫君を勇者の如く助け出して、たまには良いところを見せてください、殿下」

「マイア、お前……俺に対して……遠慮が無さ過ぎる」

 真面目な顔をして、冗談ではなく結構ひどい物言いをするジェイに、テリオスは呟く様に文句を言うだけだ。


 結局、第2王子殿下のテリオスに対して、上げて落としての1番ひどい扱いをするのは、いつもジェレマイアだったな、とケインは昔を思い出した。
 本人は自分がおとなしくしていると思い込んでいたようだったが、それは単に愛想が無いだけで。

 望んでもいないテリオスの取り巻きなど、いつでもやめていい、とあからさまなその態度は不遜だったし、あの偉そうなゴードンも伯爵家のジェレマイアに何も攻撃しなかったのは、推して知るべしだ。
 それでもテリオスは、嘘がないジェレマイアを気に入って。
 中高6年間、彼は第2王子の1番の友人だった。