最愛から2番目の恋

「……お前の言う通り、俺の人間性は最悪だ……自分でも分かってる。
 何せ、あの悪名高いサンペルグの集金システムは、大叔父と俺で考えた。
 どうすれば金を持ってる奴等からより多くの金を集めて、より強い権力を手に出来るか、信仰心なんかこれっぽっちも持ち合わせていない2人の悪党が、他人の弱味につけこんで、生き血を吸う方法を考えたんだ。
 そんな俺に、ユーシス以下の俺に? あのひとを?
 国民のために我が身を差し出すような彼女に、何が出来る?」

「……しかし、その生き血をすするサンペルグの契約が、今の姫様を守ってる……」

「だが、そう言われても……」

 ぐずぐず言う王太子に、とうとう我慢がならなかったのか、ジェイがテリオスを睨んだ。


「あー、もう、ぐだぐだと!
 テリオス殿下らしくないですよ!
 ここは教会の告解室じゃないんだ、貴方の罪を告白されても、俺達にはどうしようもない。
 急いでくれ、と手紙に書いたはずですよ?
 最愛が居てもライオンは、一夫多妻。
 番以外に手を出しても、罪悪感なんて持たない。
 いつもの貴方はどこへいった?
 婚姻式前に王女を助けるのか、助けないのか、早く決めて行動しないと手遅れになって、貴方は一生後悔します」


 テリオスの逡巡をぶった切るように。

 それまで2人の会話を黙って聞いていたジェイが吠えた。