最愛から2番目の恋

 そこで、やっとジェイは男を促して、テーブルに付かせ。
 テリオスの背後に立つケインにも身振りで座るように示した。
 彼は今は、黙って見守ると決めたようで、ケインも素直に席に着いた。


「えぇ、その通り、殿下はあの男、あの最低クズ野郎とは血が繋がっていて…
 姉も私も姫様に注意をしたんです。
 最低な第1王子よりも、第2王子の方が質が悪い、あんな笑顔に騙されてはいけない、あれは最悪だ、と」

 テリオスに対して身も蓋もない男の言葉を聞いて、小さくジェイが咳払いをした。
 それは、男の不敬を咎めるためではなく、笑いかけたのを誤魔化そうとしているのは、ケインにも分かったのに。
 いつもなら、何かしらの反応を示すテリオスは、黙ったまま男の言葉を受け入れていた。


「なのにあの御方は、
『それでも、テリオス様はお優しい。
 彼だけはわたしの目を見て、話してくれる、笑ってくれる』と。
 殿下みたいな悪党に騙される馬鹿な姫様がお可哀想で、姉も私も泣きましたよ。
 けれど、確かに貴方様だけが、あのクソばかりの、外見ばかり重視するクロスティア王家の中で。
 貴方だけが姫様を丁重に扱ってくれたんですよ」