テリオスが兄の婚約者だったカリスレキアのガートルードに最後に会ったのは2年近く前の事だ。
その時は、これが最後の別れになるとは思いもせず。
彼女が総本山サンペルグ聖国で口座を開設出来るように、紹介状を手渡した。
兄のユーシスがガートルードを厭い、婚姻後に命を狙う場合に備えて、教会の保護を受けられるように、と考えたからだった。
当時第2王子だったテリオスが表立って、ユーシスと対立するわけにはいかなくて。
考えて考えて思案の末の、行動だった。
自分の力では無理でも、聖教会の権力で彼女を守って貰いたかった。
「御無沙汰しております、王太子殿下」
「……あぁ、義姉上……いや、ガートルード王女殿下はお変わり無いか?
兄の件では、なんとお詫びしていいか……」
「王女殿下はお変わりになられました。
アストリッツァに王太子妃に望まれて、ご家族の反対を押しきり、お国のためにその身を捧げられ、最愛の番が居る相手に先日お輿入れを」
「……」
テリオスはガートルードを、醜女などと侮った事など無いが、それでも。
こんなに早くに、彼女に次の縁組が決まるとは思っていなかった。
それも婚約ではなく、番が居ると有名な男にいきなりの輿入れ?
自分でも自覚していなかったその衝撃に、顔色を失ったテリオスはそのまま立っていられないように腰を下ろした。
その時は、これが最後の別れになるとは思いもせず。
彼女が総本山サンペルグ聖国で口座を開設出来るように、紹介状を手渡した。
兄のユーシスがガートルードを厭い、婚姻後に命を狙う場合に備えて、教会の保護を受けられるように、と考えたからだった。
当時第2王子だったテリオスが表立って、ユーシスと対立するわけにはいかなくて。
考えて考えて思案の末の、行動だった。
自分の力では無理でも、聖教会の権力で彼女を守って貰いたかった。
「御無沙汰しております、王太子殿下」
「……あぁ、義姉上……いや、ガートルード王女殿下はお変わり無いか?
兄の件では、なんとお詫びしていいか……」
「王女殿下はお変わりになられました。
アストリッツァに王太子妃に望まれて、ご家族の反対を押しきり、お国のためにその身を捧げられ、最愛の番が居る相手に先日お輿入れを」
「……」
テリオスはガートルードを、醜女などと侮った事など無いが、それでも。
こんなに早くに、彼女に次の縁組が決まるとは思っていなかった。
それも婚約ではなく、番が居ると有名な男にいきなりの輿入れ?
自分でも自覚していなかったその衝撃に、顔色を失ったテリオスはそのまま立っていられないように腰を下ろした。



