最愛から2番目の恋

 ジェイが出掛けているようなので、何処かで時間を潰して来ます、と言うテリオスをリデルは家に招き入れた。
 彼とケインにお茶と手焼きのクッキーを出してくれ
「王都から馬を駆けてこられたのなら、お疲れでしょう」と笑顔で労ってくれるので、ありがたいのだが。

 いくら夫の友人とは言え、若い男2人を夫の留守宅に招き入れるのは、あまりにも警戒心が無さすぎて不安になった。
 自然に囲まれて生活すると、人は人の持つ善意という曖昧なものを信じるようになるのだろうか。

 母親と兄、そして叔父からも命を狙われていたテリオスには到底理解出来ないが、同様に殺伐とした家庭環境で育ったジェイには、リデルは救いだった。
 そして、彼女だけをジェイは求め、他を捨て、彼は今幸せになった。


 では、俺は……俺の救いは……

 時々思い出すが、心の奥底に沈めた想いを吹っ切るように、テリオスは得意の本心を隠す微笑みを友人の妻に向けた。