最愛から2番目の恋

 正直、自分でも限界は近いような気がしている。
 彼女は元々は、好戦的な性格はしていない。
 ただ負けず嫌いではあって、それなりの覚悟と対策を練って輿入れをしてきた。


 心配する家族にも、申し訳なさそうな家臣にも、半分怒っていた幼馴染みにも。
 平気そうに笑顔を見せて、わたしは負けない…と強がって見せた。


 本当は馬鹿じゃなかったクラシオンから脅されて、逃げ出したかった。
 夫はガートルードの首を落とすような言葉を吐いた。
 直接襲われるのか、それとも冤罪を掛けられて処刑されるのか。
 敵国に付いてきてくれたテレサやメイド達を守り抜く責任もあって、言い返したけれど、本当は……



「私は貴女を、こんな形でしか……ユーシスから守れない。
 ……申し訳ありません」

 そう言って、サンペルグへの紹介状を渡してくれたテリオスのお陰で、今はクラシオンに対抗出来ている。
 それでも……



 隣に愛するひとが居なくて、不安で怖いのは、マリツァだけじゃない……
 いくら爪を研いでみせても、わたしも同じ。

 
 常に、周囲に対して気を張り続ける毎日。
 愛することも、愛されることもなく、たった1人で立っている。
 これからもずっと、それを続けなければならない人生。


 まだ20歳のガートルードは、疲れ始めていた。