最愛から2番目の恋

「わたくし達にも喪服ですか?
 通常ならば、胸に喪章をとめるだけかと」

「城内だけなら、それでいいけれど。
 外部から人が集まる通夜と告別式、出棺の儀では、一目でわたしの関係者だと分かるようにしたいの」

「……一目で分かるように」


 そうだ、正妃の関係者だと誰もが分かるようにしたい。
「こちらにはクラシオンは手出しが出来ない、口だけだ」とテレサには安心させたくて話したが。
 誰が正妃側に寝返ったのか分からない城内の者ではなく、外部からの参列者に、彼がこちらの処分を依頼していたら?
 

 わたしがクラシオンなら……
 先ずは正妃の侍女かメイドを狙い、明らかな敵を減らし、ガートルードに恐怖を植え付ける。
 そのためには、人を雇い2人程片付けて
「無礼があった故、手打ちにした」と主張させる。
 サンペルグからの調べが入ってもそう言い張って、しらを切り通す。


 しかし、そうやって王城の使用人を手打ちにしたように装おうとしても、喪章をつけただけの彼女達とは違い。
 喪服を着用した正妃のメイドなら、勝手には処分出来ない。
 正妃がカリスレキアから連れてきた使用人を、城外の人間が断りもなく手打ちにすれば、大問題になる。