最愛から2番目の恋

「畏まりました。
 本日の弔問は王太子殿下、妃殿下、そして王妃陛下のご実家の方々の、近親者のみとなっております。
 妃殿下が今、お召しになっているそのままの装いで、ベールは着けなくても結構でございます」

「最愛様は、如何されるのかしら?」

 一度も顔を見せていないお飾りでも、近親者に入れてくれるのね、と思いながら。
 ガートルードは敢えてマリツァの事を、アレッサンドラに尋ねた。


「……側妃様は、納体の儀終了までは、西の離宮にお移りあそばされます」

「承知しました、もう下がっていいわ」

 やはりアストリッツァでも、妊婦は葬儀関連の行事には参加は出来ないのだ。
 葬儀に出席する者達からも距離を取らねばならない。
 寂しがる死者がお腹の中の子供を連れていく、と考えられているからだ。

 2週間程、運命の番達は離れ離れにされてしまうが、仕方がない。
 マリツァ本人が大々的に発表してしまった。
 黙っていたら、番を最優先に考えるこの国なら。
 彼女がクラシオンに寄り添う事に、周囲は目をつぶったかも知れないのに。
 

 王妃陛下の親族が登城するのを見計らって迎えに来る、と言い残してアレッサンドラが部屋から出ていくと、テレサがガートルードの側に来た。