最愛から2番目の恋

「カッツェの新作、だそうですわ」

「妃殿下御自ら、ここをこうして、とご注文をつけられたとか」

「プリーツはカリスレキアでは、これから流行するらしくて」

「これは……細ければより細く、そうでなくても細く見えますわね」

「制作費に糸目は付けぬ、とも仰られて、ご自分でお支払になられたそうで。
 ここだけのお話にしてくださいませね、何でも妃殿下はサンペルグに……」

「まぁ、それは……夫に遠慮せずに好きなように作れるのなら、わたくしだって」

「夫が好き勝手しているのなら、こちらだって……って、わたくしも思いますわ」


 番の居る夫に嫁いできた、みじめな花嫁のはずのガートルードにまつわる情報が口々に広がって。
 男性達は居心地が悪そうだが、女性達の目は共感の色を帯びてきた。
 個々でどのように話されているのかまでは、ガートルードは把握出来ないが、自分を見る彼女達の視線に、悪い気はしない。

 愛されない妃殿下は、馬鹿にされるか、同情されるかで。
 これで馬鹿にされる方向には行かない事が明らかになった。
 もし、そう思っていてもこの雰囲気の中で、それを口に出せる勇気のある者は居ないだろう。



 ファーストダンスが終わり、一斉に起こった拍手が静まった瞬間。
 
 声をあげた、勇気ある者が居た。