最愛から2番目の恋

「で? 女7人だけで輿入れしてきた、を信じろ?
 お前はサンペルグ以外にも仕掛けているのだろう?
 城内か? ……既にお前に調略されて引き込まれた奴が居る?
 自慢の金で買収したか、女達を使って誘惑したか?
 ……いや、ここでやって尻尾を掴ませる真似はしないだろうから、婚姻が決まって直ぐに動いたか。
 半年以上かけて、事前にこの国の情報を手に入れて。
 俺の城の内には、お前のネズミが何匹も潜んで居るんだな?」

「さて……どうでしょうか」
 
 誰がカリスレキア側に、寝返っているのか。
 その名前は最後まで明かさない。
 王太子が家臣の誰をも信じられなくて、疑心暗鬼に陥ればいい、とガートルードは思っているからだ。


 
 王太子夫妻の無言の睨み合いは続き。
 お互いに腹を探り合うのに疲れた頃。
 クラシオンが立ち上がった。 


「10年間凍結と、こちらを騙して作った口座。
 幾ら守って貰えると言っても、顧客が早めに死んで。
 残高が多い方が、あの強欲なサンペルグは喜ぶだろ?
 お前の手の内、全て明かされるまで……
 それまでは、お前の首は繋がっている、と安心しているがいい」