「クラシオンの番は、子爵家の娘。
元の資質が大した事無いのであろう。
王太子の寵愛が10年続いていても、高位貴族家の養女にはなれなかったのなら。
それだけでも、王太子と番はまだ重きを置かれていない事や。
妃教育を受けても、あくまで端女は端女でしかなく、正妃の器ではないと分かる」
ガートルードの母である王妃の物言いは静かではあるが、その実1番腹を立てて居るのは、この母だ。
母は静かに文句を言う時が怖い女性だ。
普段なら、身分や生まれをどうこう口にしない王妃が、ここまでの物言いをするとは……
国王も王太子も、家族の会話に口を挟まない宰相も。
男性陣は、それが骨身に染みているので、何があってもこの縁組は断る、の1択だと目と目を合わせて無言で頷き合った。
「そんな馬鹿野郎がどうして、今になって!」
エレメインが大きな声を出す。
こちらは同じ女同士、それ程母を恐れていない。
理由なんて、どうでもいい。
断る、断るのだから、もう深堀はするな、というサージェントの視線に彼女は気付かない。
いや、気付いているが無視している。
「お前も父上に文句を言ってやれ」と裏では煽ったくせに、想定よりも母がお怒りモードなので、この辺りで収めようとする小心者め、と兄を軽蔑しているからだ。
いつも仲の良い王家の面々が、ギスギスにヒートアップ仕掛けたその時。
「持参金とわたしの資産、ですね、きっと」
元の資質が大した事無いのであろう。
王太子の寵愛が10年続いていても、高位貴族家の養女にはなれなかったのなら。
それだけでも、王太子と番はまだ重きを置かれていない事や。
妃教育を受けても、あくまで端女は端女でしかなく、正妃の器ではないと分かる」
ガートルードの母である王妃の物言いは静かではあるが、その実1番腹を立てて居るのは、この母だ。
母は静かに文句を言う時が怖い女性だ。
普段なら、身分や生まれをどうこう口にしない王妃が、ここまでの物言いをするとは……
国王も王太子も、家族の会話に口を挟まない宰相も。
男性陣は、それが骨身に染みているので、何があってもこの縁組は断る、の1択だと目と目を合わせて無言で頷き合った。
「そんな馬鹿野郎がどうして、今になって!」
エレメインが大きな声を出す。
こちらは同じ女同士、それ程母を恐れていない。
理由なんて、どうでもいい。
断る、断るのだから、もう深堀はするな、というサージェントの視線に彼女は気付かない。
いや、気付いているが無視している。
「お前も父上に文句を言ってやれ」と裏では煽ったくせに、想定よりも母がお怒りモードなので、この辺りで収めようとする小心者め、と兄を軽蔑しているからだ。
いつも仲の良い王家の面々が、ギスギスにヒートアップ仕掛けたその時。
「持参金とわたしの資産、ですね、きっと」



