最愛から2番目の恋

「……それでは王妃陛下のご体調が?」

「そうなのです、レオニード王家の方々はこの国の誰よりもご先祖がえりが顕著な方々なので。
 番が弱ると、自然と御本人も……なのです」

「国王陛下も臥せっておられるのでしょうか?
 お見舞いとして、お顔を拝見……」

「いえ、今は……
 番を失いそうになっているお姿をお見せするのは、失礼ながら妃殿下におかれましても、はなはだキツいものがあると存じますゆえ」

「承知致しました。
 貴方には気を遣わせて本当に申し訳なかったわ。
 これからも、こちらのご事情に疎いわたくしを、助けてくださいね」


 ガートルードは微笑みながら、ゆっくりとその場を離れた。
 自分の後ろ姿を見送る宰相の視線を感じながらだ。
 内心の動揺を悟られないよう訓練は受けていて、簡単には見破られないだろうが、それでも注意は怠らない。


 だってわたしは、この国以外では貰い手が無かった、お金だけは持っているお飾りの妃だから、深い事は考えない。
 今は、夫とその最愛に対抗心を燃やしている妻であり、そのためにはお金を惜しまない、無駄な散財をする女だ。


 己の番である王妃が、この世を去るかも知れない今。
 国王が番を持つ息子の正妃の輿入れを進めたとは思えない。
 王妃の病状が落ち着くまでは、そんな余裕は無いだろう。


 だったら、誰が?
 
 わたしをこの国に、輿入れさせた?