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その他にガートルードが気になる事があるとすれば、未だに国王陛下から拝謁の知らせが来ないことだ。
アストリッツァに到着して3日が過ぎ、とうとう我慢できずにこちらから、廊下で偶然に行き交ったクイーネに尋ねてしまった。
これでは、待ちきれなかったこちらが減点だ。
「……失礼ながら国王陛下におかれましては、王妃陛下の病、ご快癒の目処が未だに立たず。
遠きカリスレキアからはるばるお越しくださった妃殿下には、大変申し訳なく……」
このクイーネが振るう長広舌や『失礼ながら、おかれましては』にもすっかり慣れてしまい、今では遮るよりも好きに話させている。
小娘の癖に生意気だと思われて、警戒されないようにするためだ。
初日以降は、聞いている顔をして、心の内では数を数えている。
今日は 863 まで数えた。
1000 まで数えるのも、面倒になってきた。
次はもう少し間隔を空けて、ゆっくりカウントしてみようか。



