ガートルードは、言われる程醜くはない。
何度も繰り返すが、ただ美しく無いだけだ。
憧れられるような目を引く美点は無いが、目を背けられるようなおぞましさも無い。
それでも他国では醜女と有名で。
クロスティアの第1王子との婚約が無くなったので、噂だけで妹姫を貶める国外への輿入れは、もう無いだろう、と家族の全員が気楽に思っていたのに。
「あのクラシオンには、番とか言う最愛の相手が居るのでしょう?
確か16歳で出会って、早10年。
その番以外は誰も娶らない、と豪語していたはずでしょう」
「その通り、その女を隣に侍らせて、成人の宴の挨拶で開口一番にそれを宣言して、たかが王太子の成人の祝いにわざわざ足を運んでやった他国の王族達を、生意気に牽制しおったわ」
王太子サージェントの言葉に、国王も忌々しげに言葉を繋げる。
「昔はともかく、今では誰もあんな蛮国とは縁組をしようとは考えておらんのに先走って、他国との政略婚はお断りだと偉そうに。
どの口が言うかと片腹痛くて、モランと酒の肴にしてやった」
モランとは、10年前のクラシオンの成人の宴に国王と共に参列した、当時のカリスレキアの外務大臣だ。
何度も繰り返すが、ただ美しく無いだけだ。
憧れられるような目を引く美点は無いが、目を背けられるようなおぞましさも無い。
それでも他国では醜女と有名で。
クロスティアの第1王子との婚約が無くなったので、噂だけで妹姫を貶める国外への輿入れは、もう無いだろう、と家族の全員が気楽に思っていたのに。
「あのクラシオンには、番とか言う最愛の相手が居るのでしょう?
確か16歳で出会って、早10年。
その番以外は誰も娶らない、と豪語していたはずでしょう」
「その通り、その女を隣に侍らせて、成人の宴の挨拶で開口一番にそれを宣言して、たかが王太子の成人の祝いにわざわざ足を運んでやった他国の王族達を、生意気に牽制しおったわ」
王太子サージェントの言葉に、国王も忌々しげに言葉を繋げる。
「昔はともかく、今では誰もあんな蛮国とは縁組をしようとは考えておらんのに先走って、他国との政略婚はお断りだと偉そうに。
どの口が言うかと片腹痛くて、モランと酒の肴にしてやった」
モランとは、10年前のクラシオンの成人の宴に国王と共に参列した、当時のカリスレキアの外務大臣だ。



