最愛から2番目の恋

 男性から愛された事がないガートルードにしてみれば、遠回りしてでも愛する女性が無事に帰るのを見届けるために送りたい、そんな男性の気持ちは分からなかった。
 加えて頭のどこかで、テリオスは無駄を嫌う合理的な性格だと思い込んでいた。

 そんな風にいささか男心に鈍感なガートルードが、ごく自然に
「明日は何時に出立なさいますか?次に会えるのはいつになりますか?」と昼食時に話をふったところ、途端にテリオスの表情が若干険しくなった。


「いつ? 俺の出立って?
 ……君も明日アストリッツァを出る予定だよね?」

「えぇ、もちろん。
 貴方をお見送りしてから出ようと……
 一緒に帰国するのかと思っていたわたしに、父が残るように言っていたのは、そのためですよね?」

「……俺を見送るために残ったと思ったの?
 いやいや、一緒に帰るけど?
 何を言い出すの?」

「え……一緒に?」

「……」


 2人の間にしばしの沈黙が流れた。
 黙ってしまったテリオスがガートルードから視線を外して、こめかみを軽く押さえていた。
 それを見て、自分が間違えた事を、彼女は悟った。