最愛から2番目の恋

「わたくしは、殿下の事はこれっぽっちも、何とも思っておりませんので、このまま3人でやっていく気はございません。
 その代わり、最愛様のご身分が正妃にするには足りないと仰せなら、良い考えがありますの。
 宰相殿のご子息のアーマン・クイーネ卿が今回の責任をとって謹慎されていると聞きました。
 あの方に、マリツァ様のご養子の件をお命じになられては?
 もうヴァルチからの妨害は無いと思いますし、何より宰相殿が忠実であった事は殿下もご存知でしょうし、クイーネ侯爵家をこのまま没落させるのは、もったいない事でございます。
 皆に文句を言わせない王太子殿下のお力を見せつけるのは今です!
 今しかございません。
 ところで殿下、典医の処分はお済みになりました?」

 ここまで、一気に話を続けて。
 王妃の毒殺を疑ったクラシオンにそんな毒は無いと言った典医は、4神虫獣家所縁の者だったと聞いたので、最後にその処分を尋ねて終わりにした。
 口を挟まれないように話し、何となくそれで結論が出たように思わせるのは、ガートルードの得意技だ。

 その思惑通り、クラシオンはそれ以上はあれこれ言う事もなく
「そうか、うん、そうだよな、あぁ分かった」と何度も頷いて、何となく納得した様子を見せた。
 

  ◇◇◇

  
 その日の午後に、アストリッツァの王太子クラシオン・レオニードとカリスレキア国王グロスター・アーレンス、第2王女ガートルード・アーレンスが婚姻内定解約文書に署名した。