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 霊廟爆破による王妃の棺焼失、宰相の死亡、正妃予定者の毒殺未遂、それらの重要参考人の逃亡など、問題山積みのガレンツァに王太子クラシオンが到着した。

 やはり国王陛下は、王都から出て来られなかった。
 きっとアストリッツァ解放同盟とアレッサンドラの襲撃に怯えて、王城の私室で周囲を多くの騎士に守らせて震えているのだろう。
 その側には、今も国王の最愛から2番目の女性は居るのだろうか。
 ガートルードはそれを考えても、自分にはもう関係が無いと頭の中から追い払った。


 クラシオンは約束通り、残っていたメイド3名も連れてきてくれた。
 これで、お飾り妃だったガートルードは王都に戻ることなく、このまま帰国出来る。

 後は午後からのカリスレキアとアストリッツァ双方立ち会いのもとでの婚姻内定の解約だが、あくまでも内定で正式な婚姻はまだだったので、手続きも簡単で済む。


 その前に是非話をしたいと伝えてきたクラシオンと応接室で向かい合った。
 ここはレオニードの本邸なのに、クラシオンの方が来客用の椅子に座るのがおかしくて、顔には出さなかったが、内心大笑いのガートルードだ。
 クラシオンは2人で、と希望したようだが、ガートルードの隣には当然のようにテリオスがすました顔で座っている。