「……じゃあ、わたしさえ騒がなかったら、刺されることもなかった?」

「……本人は、そう言ってる」


 やはり聞かなければ良かった……

 余計な事をして、自分から毒を刺される災厄を招いてしまった事に落ち込むガートルードを慰めるように、テリオスは抱き締めた。


「テレサを庇って刺された君に、俺は惚れ直した」

「あの無口なケインが、君の勇気を絶賛していた」

「陛下も仰っていたけど、君は俺の誇りだ」

 等々慰めの言葉を重ねられても、自分の馬鹿さ加減に落ち込んだ。
 そんな彼女の頭を撫でながら、急に真面目な面持ちになったテリオスが尋ねた。


「君は、アレッサンドラは何処に消えたのだと思う?」

「……多分、貴方と同じように推察しています」

「……サンペルグ?」

「えぇ、アレッサンドラは組織に属していることに安心する人間、と仰ったでしょう?」

 自分の幸せよりも組織に属していることに安心する人間……
 本当にアレッサンドラ・クイーネがそんな人物なら。