「彼女や解放同盟が、レオニードや獣人御3家を狙ったのは理解出来ますが、わたしが刺されたのはどうしてでしょうか?
 貴方がわたしを迎えに来た、と話しているのを彼女も聞いていたはずです。
 だったら、何もせずにわたしを帰国させた方が良かったのでは?」

「その理由も書かれているけど、聞きたいの?」


 このテリオスの聞き方は、自分にとっては都合の悪い時だと学習したのに、やはり知りたくて、ガートルードは頷いてしまった。
 この先、それを思い出す度に、我が身を捩らせ、唸ってしまう程の自己嫌悪に陥るようになるとは思いもせずに。


「元々、クラシオンとの関係が希薄だった君を、あの女は狙っていなかった。
 自供によると、既に使い物にはならない国王はそのままにして、次はクラシオンを狙っていた。
 だから、常に周囲を警戒している君がいなくなる事は都合が良かった。
 あの時も、単にテレサに帰国出来る事をお祝いしたくて近寄ったら、君が離れろと叫んだので……
 自分の罪を知られていると気が付いて、刺してしまったらしい」