リーヴァが部屋を辞した後、テリオスが教えてくれた。


「調書によるとアストリッツァ解放同盟は、25年くらい前に活動を開始した中規模組織らしい」

「25年前……当時7歳のアレッサンドラがクイーネの養女になったのと同じ頃ですね」

「……宰相が亡くなった今となっては、どんなきっかけであの女と知り合って、養女にしたのかは不明だが……
 アレッサンドラの方からと言うか、解放同盟の方からクイーネに接触して、言葉巧みに同情心を煽って養女にさせたのかもしれない」

「遥か昔の主だったアフヴァーナの末裔が孤児になって、苦労していると聞かされて、とか?」

 それは充分有り得そうな話だとテリオスも頷いた。


「本当に孤児だったのかも怪しいけど、とにかくクイーネは、相手が子供だったから信じてしまった。
 まさか、優秀な娘がアフヴァーナの銀の毒の使い手で、王妃の持ち物に毒を仕込むようになるとは思わずに、自分の秘書官にして王城に引き込んで……
 こうなってしまうと、彼があの爆破で亡くなってしまった事は、信じた養女の裏切りを知ること無く逝けて、却って良かったのかも、とさえ思うな」