最愛から2番目の恋

「……求婚をする前に、先に外堀を埋めるような真似をしてすみませんでした。
 貴女が目覚めたら、1番にプロポーズをさせてください、と陛下にお願いしていました。
 なので、私が呼びに行くまで、他の方々はここには来られません」

 急に改まった口調のテリオスは、ガートルードのまだ感覚が戻らない左手を、壊してはならない大切な物を扱うように慎重な手つきで握った。


「自分の気持ちに気付くのが遅くて申し訳ありません。
 貴女とのこれまでの事。
 貴女とのこれからの事。
 自分の置かれている立場で、カリスレキアと関わる事。
 考えて考えて……以前は答えが出なかった。
 決めるまでに時間は掛かりましたが、決めてからは、早く早くと焦りました。
 こんな慎重過ぎる男ですが、私が背中を預けられる女性は貴女しかいません。
 ……ガートルード・アーレンス王女殿下、どうかお願いします。
 私と結婚してください」


 真っ直ぐにガートルードを見つめるテリオスは、真剣で。
 ガートルードも、その紫の瞳から目を逸らせない。


 ガートルードは自分が美しくない事は承知している。
 その上、指も1本欠損した。
 そんな自分が、美しく聡明なテリオスの隣に立つのに相応しいのか。
 必ずや、それをこの先何度も言われるだろう。


 クロスティアのような大国の王太子妃がこんな女でいいのか、テリオスに進言する人間もいるだろうし、ガートルードに面と向かって、身を引け、と文句をぶつける人間もきっと現れる。
 だが、それを理由にテリオスからの求婚を断る気はない。