最愛から2番目の恋

 渡された中身を確認すると、サンペルグ聖国の古語で書かれた『テリオス・ミロード・クロスティア』と『ガートルード・アーレンス・カリスレキア』の婚約申請書だった。
 
 申請の日付はアストリッツァからの婚姻申し入れより2週間前。
 承諾の日付はクラシオンとの婚姻予定日よりも前で、『アリステア・ミロード・ミンチェスター』の署名と、聖下の押印がされている。


「お忙しい教皇猊下に、1枚1枚承諾書にサインをいただくわけにはいかない。
 俺の場合は、大叔父が承諾してくれた。
 効力は猊下と同じだから」

「……全て出任せではなかったのですか?」

「内々の婚約だとか、教皇猊下の承諾書待ちは嘘だけれど、これは本物」

 これは本物、とテリオスは説明するが、日付はどちらもでたらめだ。
 予めアリステア聖下に記名押印していただいた承諾書に、後から日付を記入したのだろう。
 おまけにガートルードの名でサインをしているのは、姉の筆跡だ。
 となると、これはカリスレキア王家も加担した文書偽造だ。