「持参金もケチり、お前に渡す今までの王族慰労年金もまとめてではなく、20年の年払いとはな。
 お前の父親は醜いお前の事などどうでもいいのだ、と分かるというものだ。
 娘に持たせる金が少ないから、婚姻式もあげられないのだぞ?
 では、お前の私有財産はと言うと、10年間凍結された、だと?
 ふざけるにも程がある」


 カリスレキアには王族慰労年金などの制度は無い。
 毎年各人に予算が組まれて、その範囲内で過ごしていたのだ。

 アストリッツァはガートルードの私有財産狙いだと分かっているので、一旦それを凍結し。
 新たに決まったガートルードのみに適応される王族慰労年金を、これから彼女の年齢と同じ20年間毎年誕生日に支払う、と国王と宰相は議題に上げて、貴族議会も満場一致でそれに賛成した。


 つまり、政略妻の年金を横取りしたいのなら。
 20年間は暗殺などもっての他で、その命を保証しなくてはならない。
 ガートルードの健康な姿を毎年誕生日にカリスレキア大使が確認してから、その年度の年金を送金する運びだ。
 

 せめて、それぐらいは国として、第2王女の献身に応えたい。
 姫様の私有財産には、絶対に手をつけさせない。