最愛から2番目の恋

「……あの、わたしは……他にも、何か口走って……いました?」

「聞きたいなら、教えるけど、いい?
 俺が聞き取れたのは、一発でスパッと落として、怖い、怖い、と。
 それから、お願いします、お願いします、と繰り返して。
 テリオス様、テリオス、わたしの……」

「……」

 そこまで聞いたら充分だ。
 これ以上聞かされるのは耐えられないのに、残酷なテリオスは続けようとする。
 血も涙も情けもないそのやり口は、さすがに躊躇無く、ガートルードの薬指を落とした男だけの事はある。


「テリオス、わたしの愛するひと……と」

 聞いていられなくて。
 ガートルードはテリオスに背を向け、上掛けを頭から被って、彼の視線から逃げた。
 赤面して隠れた彼女の背中を、寝具の上からテリオスが機嫌を取るようにポンポンと軽く叩く。


「俺も怖くて、震えてた。
 ……君を失えば、世を儚んで聖職者になっていただろう。
 そしてサンペルグの神の御名のもと、今以上の悪徳商法を思いついて。
 世の中に悪をはびこらせ、善き人々を苦しめた。
 ……けれど、君は助かった。
 それによって、ひとりの愚かな悪党はまともになり、世の中は少しだけ、ましになる。
 君が生きていてくれる事だけで、救われる者は俺だけではない」