最愛から2番目の恋

 泣き声をあげないように、座り込んだテレサが自分の口を両手で塞いでいる。
 麻酔無しで、これから腕を落とされる恐怖に、歯の根が合わない。
 父がチーフを取り出して、震えるガートルードに噛ませる。
 もうこれで話せない。
 ガートルードは固くチーフを噛み締める。

 
 近衛にアレッサンドラを引き渡して、何かテリオスに耳打ちしたケインが側に来て、ガートルードの左腕を取り。
 動かぬように、固定するように。
 テリオスが剣を振り下ろしやすいように伸ばす。



 怖い、怖い。
 お願い、一瞬で、あっという間に終えて……
 何度もやり直すのだけは、勘弁して。
 お願い、お願いします、テリオス様、テリオス様。
 テリオス……わたしの……一瞬でスパッと……


「お許しください、姫様……姫様……
 もしもの時は、テレサも直ぐに、後を……」

 主に庇われた侍女の嘆きが、静まり返った場で聞こえ、それがガートルードの震えを止めた。


 馬鹿な事を言わないで、テレサ。
 わたしは死んだりしない。
 これで、この腕1本失うだけで、助かるの。

 テリオス様なら、彼なら出来る。
 わたしは彼を信じる。
 だから、テレサも彼を信じて。
 

 瞳を閉じると、涙が流れた。


「ガーティ、お前は私の誇りだ」

 父が優しく目蓋を塞いでくれる。



 あぁ、神様……
 お願い、お願い、テリオス……信じてる……



 その後、筆舌しがたい痛みに襲われて……
 ガートルードは気を失った。