最愛から2番目の恋

 蒼白になった父親の代わりに、素早く周囲に散るように命じていたセシオンが、テリオスに尋ねていた。
 若い彼の方が、衝撃から立ち直るのは早い。


「ガートルード王女殿下と私は、婚約が内定していた。
 こちらはサンペルグ聖国の教皇猊下からの婚約承諾書を待っていた。
 しかし、アストリッツァの横車で婚約者が奪われ……
 悔し涙に暮れていたところ、アストリッツァの王妃陛下がお隠れになられた。
 故にクラシオン殿下との婚姻も1年延びたと聞き、婚約者を我が王国へ連れ帰るために……」

 滔々と語り出したテリオスの後ろで、何かが落ちる音がした。
 彼が振り返ると、驚きで腰を抜かしたガートルードが座り込んでいて。
 慌ててテレサが、彼女を助け起こそうとしていた。


「急に来て驚かせてすまない、トゥルーディ。
 遅くなってしまったけれど、教皇猊下からの承諾書も手に入った。
 愛しいひと、共にクロスティアへ帰ろう」

 自分に手を差し出しながら、綺麗に微笑み。
 でたらめを続けるテリオスを、ガートルードは見上げた。
 混乱していて、頭の中の整理が追い付かない。


 トゥルーディ、って……わたしの事ですか?
 婚約が内定していた?
 そんな出任せを並べて?
 教皇猊下から婚約承諾書をいただいた?
 

 全部初めて聞きました。

 愛しいひと、って……わたし?