最愛から2番目の恋

 褒美と言われて、武器を手にこちらに近付く一般人の馬鹿者も何人か出てきたが、近衛の姿は見えず、この状況を見守っている者が大半だ。
 通常なら多くの騎士を従えている父だが、まさか事故現場で襲われるとは思わず、国王命令で他の者達はアストリッツァの近衛と共に、リーヴァ隊長の指示を受けているのだろう。
 
 こちらは、ガートルードと同じく基本的な訓練を受けているテレサも加えて、ほぼ無傷の5人。
 いくらテリオスが剣の訓練から逃げていたとしても、余程の強者が6人以上で同時に飛び掛かって来ない限り、簡単に切り捨てられたりはしない。


 ガートルードは静かにテリオスが長剣と共に腰に差していた短剣を後ろから抜き取り。
 彼と背中を合わせ、構えた。
 
 これで騎士ではなく普通の男が相手なら、攻撃は出来なくても防御だけは出来る。
 テリオスやケインの足手まといにだけは、なりたくない。
 隣を見ればテレサも、一旦胸から小柄を出していたが、ケインから短剣を手渡され、それに持ち変えた。