最愛から2番目の恋

 プライドとは、雄ライオンが雌数頭と仔ライオンで形成する群れの事だ。
 テリオスはステファノ・ヴァルチがライオンの獣人である事に引っ掛けて、若いライオン、すなわちセシオンに家督を譲れ、とヴァルチ公爵を嗤ったのだ。


「おっ、おのれ……誰か! 誰か、近衛を呼べ!
 この無礼者を捕らえよ!
 いや、直ぐにでも切り捨てろ!
 ヴァルチが褒美を取らす! 早い者勝ちだ!」

 その煽りに怒りの余り、顔を赤くして。
 ヴァルチ公爵がこれまでの経緯を遠巻きにして見ていた者達に、激を飛ばす。


「ステファノ・ヴァルチ、お前の方こそ、そこに控えろ。
 カリスレキアの国王陛下とガートルード王女殿下に、無礼を働いた者め。
 この俺が切って捨ててくれる!」


 テリオス様はやはり性格がよろしくない。
 公爵も傷を負っている。
 怪我人をこんなに興奮させて……後が大変なのに。
 嬉々として剣を構えるテリオスに、ガートルードは呆れた。