最愛から2番目の恋

 未だに、カリスレキアを疑っているのか、自身の怪我を押してカリスレキアへ行こうとする息子を、公爵が叱った。
 そのせいで、また目の前でヴァルチ親子の諍いが始まって話が進まない。

 いい加減にして! と、とうとうガートルードが声に出そうとした時。


「いい加減にしろ!
 セシオン公子、私の友人の妻が『癒し手』の持ち主だ。
 貴方自身が公女を伴って、治療を頼みに行くと言うのなら、私からも友人に頼んでもいいが」

 テリオスがセシオン公子に向かって話し出した。


「妹を伴って?
 あの状態の妹を? こちらから連れて行くと?
 カリスレキアへ?」

「そうだ、ただしカリスレキアじゃない、クロスティアへ。
 貴方本人が妹を連れて、私の友人に頭を下げて願い出ろ。
 彼の妻に、公女を助けたい、と言って貰えるように。
 彼女なら……『癒しの聖女』なら、助けて貰えるかも……」

「……」


 癒しの聖女?
 テリオスの友人の妻が『癒し手』の持ち主だとは知らなかったガートルードだが、父も同様に驚いたようにテリオスを見ている。
 カリスレキア王家も各国に密偵は放っている。
 きっとクロスティアからはそんな報告は受けていないのだろう。
 だとしたら、その友人の奥方『癒しの聖女』の存在は、公にはされていないのだ。



 重傷のサレンディラをクロスティアまで運ばなければ、その女性から治療は受けられない。
 しかし、連れて行くにはリスクも大きい。
 途中で公女の容態が悪化する可能性の方が高い。