最愛から2番目の恋

 ガートルードは、昨夜からクイーネを疑っていた。
 何故なら、彼は黄金の蜂アフヴァーナ家の……
 アストリッツァ建国時からの、アフヴァーナの忠犬と呼ばれたクイーネ家の子孫だと知ったからだ。 

 

 王都に戻る前のクラシオンに、ガートルードは尋ねた。

「クイーネ家は、4神虫獣家のどこの家門に居たのですか?
 アレッサンドラとは、この国ではありふれた名前ですか?」
 
 早く王都へ帰り、マリツァを守れ、と気合いを入れてきた妻に服を掴まれ。
 クラシオンは、何故そんな事をガートルードが尋ねるのか気にしていたが、取り敢えずは答えてくれた。


 それはクイーネ家が、アフヴァーナ公爵家で働いていた家門である事。
 アレッサンドラという女性名は、白虎ティグルーの家系だけにとどまらず、アストリッツァでは貴族の女性ならありふれた名前だ、という事。



「……ですが、父も本望だったでしょう。
 御恩あるレオニード家の霊廟で、亡くなる事が出来たのですから。
 きっと天国で、皆様に褒められて、喜んでいる事でしょう……」

 宰相の養女、アレッサンドラの言葉が耳に残る。

 右隣に座っていたクイーネが、幸いにも壁際まで飛ばされた自分の代わりに、亡くなった気がした。