最愛から2番目の恋

 姉は、北のグーレンバイツ帝国の皇女と仲が良い。
 かの帝国には『癒し手』の力を持つ者も多いと聞く。
 その中でも特に強い力を持つ者は、癒しだけではなく、医療も行えるらしいのだ。
 移住は勝手には出来ないから、帝国にはその届けは出ているはず。
 アストリッツァの近くに、その力を持った移住者は居ないか、皇女に尋ねて欲しかった。


 あの父親、ヴァルチ公爵には正直、思うところが無い訳ではない。
 しかし、サレンディラにしろ、彼女の兄の次期公爵セシオンにしろ、この国の若い世代には期待が持てそうな気がする。


 何より、自分が美しくないと知るガートルードは、綺麗なものが好きだ。
 そこだけは、あのクズな元婚約者と同じ。

 美しいものには、人の心を動かす力がある。
 自他共に認める美を信奉する者の矜持として。
 
 ガートルードは、未来あるサレンディラの美しさを損なわせる事を、このまま見過ごせなかった。